とかく老人は, 自分が間違った行動をしていないという自負からか, 人の誤りに対して厳格な批判をしがちに思う。 先日はちょっと変ったタイプの「厳格さ」にでくわした, と言うよりそれが通り過ぎた。住宅街の小さな交差点にさしかかった時のこと。交差する道路に一時停止の規制があったのだが, 止まって左右を確認していたら, 後ろを歩いてきたご老人が, 「向こうが一時停止をしなければならないのだから, 止まって左右を確認する必要などないよ」と抜いて行った。 ルールがどうであれ痛い思いをするのは自分なのだから, 止まって確認が正解だろうなあと思いつつ, 平生感じていた「自転車の一時停止の問題」を思い出した。そもそも, 交通整理の行なわれていない交差点では一時停止が指定されているか否かに関わらず, 止まって左右を確認することが求められている。しかし実際の場面で, 止まらない車を見ることは稀なのに, 止まる自転車を見ることはほとんどない。まして一時停止が指定されている場合, 自転車も停止線で止まらねばならぬのに, 数えてみたことはないが, 100台に1台も停止はしないだろう。それで僕は意固地に停止することにしている。自転車の場合ですよ。歩いている時は無論止まりなどしないけど。自転車で遠出の時などわざわざビンディングを外し, 左足を着いて停止するわけで面倒なことこの上ない。でも敢えて止まる。車で交差点にさしかかった時と同じだ。 それなのに, チャイルドシートなどを付けたアシストバイクのほとんどが一時停止できちんと停止しないのはなぜなのだろう。子供が座っていたら一段と安全に気をつけるべきだろうに。道路交通法第43条違反。罰則は,「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」とあるようだ。自転車でも同様だ。立派な法令違反であることを知らないのだろうか。それでもし, 自動車との事故に巻き込まれでもしたら, 過失割合は"4対6"くらいか。自分の治療費が10万円で車の修理費が30万円だとすると, 単純には自分の負担は16万円位となるから, 怪我をおった上で更に車の修理費を6万円負担しなければならない計算になる。 それでも一時停止を無視して交差点につっこんで行くのはなぜだろう。「交差道路に迫ってくる車の音が聞こえないから」だろうか。でも今時, 極端に音が小さい車も多い